理事長挨拶
就任にあたってのご挨拶
理事長 西出順郎(明治大学、元福井県職員)
本学会も発足して早7年目に入った。設立当初はどうなるものか、どう化けていくのか、不安と期待とが入り混じっていたが、今のところ拡張と深化を劇的に遂げている。些か手前味噌に聞こえるかもしれないが、そう感じている。
我々の目的の一つであった、研究としての実務への貢献、実務に根差した研究の発展、「プラカデミシャン」(Pracademician = Practitioner + Academician)の養成も、着実に根付きつつある。ここ最近は、毎年数人ほどの一般会員がアカデミアの世界に転籍されている。もっとも、これは今のところプラクティショナーからアカデミシャンへという一方向の流れに過ぎず、真の「プラカデミシャン」文化の醸成には、双方向の往来があってこそだろう。公務員不足が叫ばれる中、一抹の寂しさは禁じ得ないが、職業人の流動性の高さが社会の発展に貢献することは間違いない。病院通いが増えた小職にはもう無謀な話だが、今後、アカデミシャンからプラクティショナーへ転籍できる道も開かれ、双方向の流れが実現すれば、実務と研究双方が一層の高みを目指すことができるであろう。
実務と研究の融合という点では、本学会にはさらなる強みがある。会員による研究プロジェクトの推進である。その好例が、礒崎初仁前理事長が主導した、ポストコロナに関する研究プロジェクトである。前理事長は、ときには率先垂範、またあるときは協働・調整型のリーダーシップを変幻自在に操り、短期間のうちに同プロジェクトを完遂し、その成果を書籍として世に送り出した(『ポストコロナの自治体危機管理 : 徹底検証!全国自治体1300日の新型コロナ対応とその教訓』、第一法規)。実務家と研究者が協力しながらこうした成果を成し遂げられるのは、他学会にはない、本学会ならではの特長であり、「プラカデミア」学会としての面目躍如といえよう。礒崎前理事長が切り開いたこの取組を小職としても引き継ぎ、粉骨砕身尽力する所存である。会員の皆さんにも、是非とも協力をお願いしたい。
「実践なき理論は空虚であり、理論なき実践は盲目である」。偉大な先達の至言である。いつの世でも、両者の距離は決して近くない。ある実践家は研究者が声高に叫ぶファンタジーに辟易し、ある研究者は実践という現実を対岸から眺め、実践家が知りたい「火中の栗の拾い方」には関心を示さず、自身の領域外とする。実は小職自身、両者の橋渡しを標榜してこれまで専門研究に取り組んできたわけだが、渡すどころか、まだ橋脚一つ立てられておらず、ブリッジのための妙案を未だ持ち合わせていない。このような自分が言うのもおこがましいが、よく似た思いを経験している会員の皆さんには、本学会を大いに活用してほしい。「会費の払い甲斐」(the Value for Membership Fee)を常に忘れず、引き続き積極的に関与していってもらいたい。大会報告、論文投稿、躊躇する必要など決してない。本学会の諸活動は、皆さんを必ず温かく迎えてくれるはずである。
最後に、本学会への入会に少しでも興味を持って下さった方は、すぐに入会手続きに進んでほしい。これは決して怪しげな勧誘ではない。本学会は皆さんの経験・知見を欲しているし、皆さんが加われば、全国の地方自治体へ今まで以上に恩返しができ、皆さんの知的探究にも大いに貢献できるはずだ。鉄は熱いうちに打て、である。